クランクケース、クランクシャフト、ポート加工などについて。

クランクケースにポート加工を施す必要がある理由は、吸気ポートがバレルではなくクランクケース内に配置されているためです。このタイプのベスパのチューニングを「ボトムエンド」チューニングと呼んでいます。「ボトムエンド」という用語は、クランクシャフトとクランクケースを指します。「トップエンド」は、バレル、ピストン、シリンダーヘッドを指します。ただし、ここでは「ボトムエンド」に焦点を当てます。

すべての Vespa の中で、小型フレーム エンジンは間違いなくチューニングに最適のエンジンです。チューナーにすぐに役立ちます。サイド ドラフト キャブレターが可能で、さまざまなギアリングの見通しが優れています。マシンのハンドリングは大型の「P」シリーズよりもはるかに優れています。もちろん、お持ちの Vespa モデルが何であれすべてのチューニングが適用されます。

まず、作業中のエンジンと関連するポートを「測定」するだけです。数値が正確であることが確実になるまで、クランクケースやクランクシャフトを削り始めないでください。これは重要です。チューニングの長い段階では、測定値を確認するために部品を組み立てる必要があります。作業を適切に行うには、この作業を何度も繰り返す必要があります。不便かもしれませんが、間違いなく必要です。

モーターを完全に取り外したら、除去する金属の量を測定する必要があります。これを行うと、ポートのサイズとポートが開いている時間の長さが変わります。これらの変更は「ポート加工」と呼ばれます。クランクケースとクランクシャフトから除去する必要がある金属の量を測定するには、クラッチ側のベアリングとクランクシャフトのみを再装着する必要があります。クランクシャフトの半分を一緒に滑り込ませ、いくつかのスタッドでボルトで固定します。ピストンとバレルを滑り込ませ、シリンダーヘッドは取り外したままにしますが、スペーサーを使用してシリンダーをしっかりとボルトで固定します。次の手順では、クランクのフライホイール端に度数ディスクを取り付けます。クランクケースのファンカウルのネジの1つにポインターを固定し、上死点がどこにあるかを確認します。

T.D.C. では、ポインターが度数ディスクの「ゼロ」と一直線に並んでいる必要があります。吸気ポートの開閉をよく理解してください。フライホイール側から見ると、クランクは時計回りに回転します。次に行うことを検討してください。最終的には、クランクケースとクランクの両方から金属を取り除きます。クランクから取り除ける金属の量には制限があります。金属を取り除きすぎると、クランクのバランスに重大な影響を与える可能性があるためです。これは、クランクケースの吸気ポートから金属を取り除くことも意味します。そうすることで、断面積も増え、つまり吸気ポートが大きくなります。これはボーナスで、通常の吸気ポートは小さく、吸気に変更を加えると、より大きなキャブレターを使用できるようになります。

標準形式で吸気タイミングを測定します。ほとんどのエンジンでは 150 度前後になります。内訳を見ると、150 度の吸気期間には T.D.C. 前の度数と T.D.C. 後の度数があることがわかります。吸気タイミングを変更する方法は非常に重要です。エンジンから金属を一度取り除くと、それを元に戻すのは非常に難しいのは事実です。したがって、すべての測定において正確さが必要であり、エラーはコストがかかる可能性があり、エラーが良好なケースセットを台無しにする可能性があります。測定時には特に注意してください。簡単な参照のための良いガイドは、原則として、T.D.C. 後の「最大」70 度が上限であり、それ以上ではないことを覚えておくことです。つまり、180 度の吸気タイミングの場合、そのうち 110 度が T.D.C. 前で、70 度が T.D.C. 後になります。

次に、競技用クランクを取り付けるか、60mm クランクを取り付けるかを決定します。標準クランクを変更する場合は、すべての測定を終えて、地元のエンジニアにクランクを分割してもらい、要件に合わせてウェブを変更します 。これを行わないと、ウェブから削り取られた金属片がビッグ エンド ベアリングに入り込み、ベアリングが故障する可能性があります。

クランク ウェブを研磨している間、大きな端をぼろ布やテープで密封しないでください。作業を正しく行うと効果があります。モーターを調整する能力がないかもしれませんが、何が正しい方法であり、何が間違った方法であるかを知る能力はあります。大きな端をぼろ布やテープで包むのは間違った方法です。

クランクを変更する前に、回転方向に注意してください。吸気周期を延長するには、クランク ウェブ上で 15 mm を測定し、ウェブの端に線を刻み、吸気ポートから見えるようにします。

この方法を使用して、クランクからどの程度取り除く必要があるかを判断します。15 mm 以上が要件に合う場合があります が、開始点としては 15 mm を使用します。次に、モーターをダミー ラン用にセットアップします。これにより、吸気ポートをどの程度開く必要があるかを確認できます。入手可能な競技用クランクはすでに変更されており、モーターに組み込む準備ができています。クランクも研磨されており、標準製品と直接交換できます。吸気ポートの形状は重要です。写真では、私が好む開き方を示しています。楕円形よりも、より大きなキャブレターを使用するための領域を開発できるため、この方が適しています。前に言ったことを思い出してください。「測定するときは注意してください」。使用する吸気タイミングを決定したら、モーターをロードまたはレースのどちらで使用するかに応じて、175 〜 200 度を限度として推奨します。

先ほど述べた 200 度の上限は、単に数値が大きいほどパフォーマンスが高くなるということではありません。200 度という上限を目指さなければならないと考えて吸気口から塊を切り出すのは愚かな行為です。そうではありません!!!

吸気ポートのタイミング増加は、排気ポートと移送ポートのタイミング増加と組み合わせて使用​​する必要があります。ポート調整の成功と失敗の間には微妙な境界線があります。その点に注意してください。

使用するポートタイミングを決定し、測定値を再確認したら、吸気ポートの形状を整え始めます。この時点で、モーターは完全に剥がされており、ベアリングシャフトとサークリップはすべて取り外されています。2 つの吸気スタッドと 4 つのシリンダースタッドを取り外して、ポートに直接アクセスし、正しい形状にできるようにします。警告 - クランクウェブがクランクケースと接する吸気ポートの縦方向の投影で、マーキングよりも少し多くの金属を除去することは許容されますが、吸気ポートの幅は、どちらの側でも 1 mm 以上開いてはならないことに注意してください。1 mm 以上開くと、吸気ポートが、それを密閉するクランクウェブよりも広くなるリスクがあります。これにより、吸気ポートのタイミングではなく、常に燃料が移動できるようになります。警告しました!!! クランクケースの半分をスロットに差し込み、タイミングを確認します。正しいと仮定して、次に進みましょう。


バレルのベース ガスケットをクランクケースに重ね、トランスファーのガスケット内部のオーバーレイの周りに罫書きを付け、クランクケース口の内側の不要な金属を取り除きます。これはすべてのモデルに当てはまりますが、「PE」をお持ちで「Malossi」または「Polini」キットを入手した場合は、キットが適切に機能するようにこの手順を実行する必要があります。

前述の「PE」用キットは両方とも、クランクケースを使用してシリンダーに混合物を転送する複数のトランスファーを備えています。一方、標準シリンダーはクランクケース トランスファーを 1 つだけ使用します。ここで言及しておく価値があるのは、最終的にバレルをポートするときに、クランクケース内のトランスファーに戻って最終的なマッチングを行う必要がある場合があるということです。


インレット マニホールドをインレット ポートに合わせます。28/30mm マニホールドを使用する「P」タイプ モデルでは、マニホールドを 100% 合わせるのは困難です。そのため、合っているかどうかの感触を確かめるのに多くの時間を費やすことになります。小型フレーム マシンの長いマニホールドでは、正しく合わせるために「感触、トリム、フィット、感触」などの長い手順が必要になります。マニホールドのマッチングは重要な作業であり、この作業を正しく行うにはかなりの労力が必要です。

ポート加工が終わったら、アーバーと細かいエメリーを使ってポートを滑らかに仕上げます。ポートの作業をどの程度「滑らかに」するかについては、さまざまな意見があります。私は常にポートの形状を重視しており、滑らかさは二の次だ、とだけ言っておきます。入手可能なクランクの選択と、それが何を提供するかについて、最後に一言。競技用クランクとは、ウェブ上の吸気タイミングがすでに変更されているクランクで、クランクは徹底的に研磨されています。60mm クランクも変更されており、研磨されているものもあります。標準クランクは 57mm で、3mm の違いでマシンの容量が約 10cc 増加します。

入口タイミングに関する提案:
ロードチューン（標準バレル） - 170/175 度。
ロードチューン（キット装着時） - 185 度。
レース/ロードチューン (キット装着) - 200/220 度。